『続窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子著)
40年以上前に『窓ぎわのトットちゃん』を読んだときは、トモエ学園の個性を重視する自由な教育内容が印象に残った。公開中の同名アニメ映画を観に行った。
書籍は、いわさきちひろさんが描いた女の子の淡い絵のイメージが強かったので、異なる画風のアニメは当初こそ違和感があったものの、アニメ版トットちゃんの可愛さにすぐに馴染んだ。
映画を観てから『続窓ぎわのトットちゃん』(2023年10月、講談社)を読んだ。トモエ学園の教育もさることながら、戦時に少女が光を見出そうとする希望の物語だった。その意味では、日本版「アンネの日記」と言える。いずれも世界的なベストセラーでもある。
希望の物語を生み出したのは、トットさんの稀有な資質であり、それを認め育てたトモエ学園の先生らだろう。トットさんはNHK劇団員だったとき、「だれかのマネをしている」と言われ、その屈辱に耐えられなかった。トモエ学園の小林先生に「君は、本当は、いい子なんだよ」と言われたことなども「ぜんぶ否定することになると思った」からだ。
今流に言えば Be Myself.だ。そう励まされ、信じ、自分を貫き通した人にしか語れない多様性尊重の物語にもなっている。(2024.02.10 No.116)