2023年6月

本のこと

新たな才能

『休館日の彼女たち』(八木詠美著)  面白かった。医学部のアルバイトで死体と対話する大江健三郎さんの初期短編『死者の奢り』を思い出し、最初から惹きこまれた。安部公房さん作品のようなシュールで奇想天外な展開が作品を駆動する […]

本のこと

サラリーマンの家族

『毎日が日曜日』(城山三郎著)  舞台はワークライフバランスなどお構いなしの昭和の総合商社。作品全体の古さは否めないが、左遷、定年という節目は現代も通底するテーマだ。「企業戦士」を主人公に据え、サラリーマンにとって幸福な […]

本のこと

洗脳メカニズムの解明を

『沙林 偽りの王国』(帚木蓬生著  オウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)元代表=2018年の死刑執行時(63)=がサリンに初めて言及したのは、1993年4月、高知での説法だった。帚木蓬生さんの『沙林 偽りの王国』(新潮社 […]

本のこと

嘘、ついてみようかな。

『空芯手帳』(八木詠美著)  教師、図書館司書…。今回も、作家以外の仕事を持ちながら創作活動に励む若い女性が書いた本だ。『空芯手帳』(筑摩書房、2020年11月)を書いた八木詠美さんは雑誌編集の仕事をしているそうだ。太宰 […]