2024年9月

本のこと

鏡を見る

『傲慢と善良』(辻村深月)  婚約者が忽然と姿を消した。宮部みゆきさんの『火車』のようなミステリーかと思った。装丁もミステリーを思わせる。辻村深月さん著『傲慢と善良』(2019年3月、朝日新聞出版)だ。実際、全体の3分の […]

本のこと

ダルの変化球のように

『転がる珠玉のように』(ブレイディみかこ著)  緻密に計算された配球でテンポよくストライクカウントをとる。決め球は、打者の手元でくいっと軌道を変える7色の変化球だ。鋭く曲がり、落ち、浮き上がる。米大リーグ、パドレスのダル […]

本のこと

次回作を待って

佐々涼子さん死去  敬愛するノンフィクション作家、佐々涼子さんの訃報を3日、朝刊社会面の小さな記事で知った。56歳と記者よりも若い。悪性の脳腫瘍で闘病中だったことは知っていた。長くは生きられないことも。だが、奇跡を信じ、 […]

本のこと

芥川×シェークスピア×ミレー×…

『黒い絵』(原田マハ著)  芥川龍之介の『地獄変』を下敷きにした。ミレーの絵の中で生きる、シェークスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物オフィーリアが語り手になる。そんな物語をアート小説の名手、原田マハさんが創作した。面白 […]

本のこと

墨の香

『板上に咲く』(原田マハ著)  読んでいると、墨の香が漂ってくるようだった。原田マハさん著『板上に咲く』(2024年3月、幻冬舎)だ。ゴッホにあこがれ、世界のMUNAKATAになった棟方志功の半生を妻チヤの視線で描いたア […]