日々のこと

GWはこんなもの

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 「混んでるから」と、例年は近場への日帰りで済ませるゴールデンウィーク(GW)。コロナ規制が大幅に緩和された今年は、混雑を覚悟して、よく骨休めに行くまちに2泊3日の家族旅行に出掛けた。


 記者の住む横浜から車で3時間。静岡県の伊東温泉である。大正時代に営業を始め、100年の歴史を持つ国の登録有形文化財に指定された温泉宿に泊まる。といっても現在は形態を変え、料金を抑えてバックパッカーらも泊まるゲストハウスになっている。今回は53畳の大広間で日本舞踊の藤間流の師範に藤音頭の一部を教えてもらうワークショップも開かれていて参加した。海外からの旅行者も多い。


 伊東は首都圏から近く、最近人気の熱海のちょっと先。なのに、いつもは目抜き通りでも多くの店がシャッターを閉め、開けていても税金対策にしかなりそうにない店が目立つ。まず人通りが少ない。地元のフリーペーパーも「うっかり熱海を越えて伊東温泉に来ちゃったあなたのために」「コロナで大打撃!半年後生き残れるのか?がんばっているけどキビシー」などと自虐的だ。


 それが今回は、思いのほかにぎわっていた。10年以上、何度も通っているのだが、こんなに人通りがある伊東は初めてだった。記者の好きな街が少し元気になっていてうれしい。そんな中でもうまくてリーズナブルな海鮮料理を出す人気店はいつも以上の繁盛ぶり。コロナ感染症が落ち着いてきたからかと思ったが、顔見知りになった店員さんは「GWはこんなもんですよ」


 「こんなもの」の理由が外に出ると分かる。花粉が減り外出しやすい。気候もいい。気温が上がりシャツ1枚の軽装でちょうどいい。今回訪れた一碧湖では陽炎が立っていた。新緑の季節。濃い青葉に、赤や黄、白みがかった緑が重なる。それらの濃淡に加え、光の加減で緑のグラデーションが生まれる。緑色は何百種類あるんだろうと思う。


 もう1カ所訪れた小室山山頂からのパノラマは山の緑にマリンブルーとスカイブルー、流れる雲の白が加わる。山頂を通り抜ける5月の風が爽快である。リフレッシュした。GWは単なる連休ではなく、自然の美しい季節であることを思い出させてくれた。海と山と温泉とうまい魚の伊東にぜひ一度お越しを。(2023.05.07)

写真:小室山から相模湾を一望=6日(長女撮影)

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