学校教育

持続可能な教育

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 「子どもたちに自然体験を」と、校庭を里山に変えてしまった校長先生がいる。特別支援教育にも力を入れ、全国のモデルとなるインクルーシブな学校にした。学校は校長1人で大きく変わる。その好例だった。ただ、その後も持続させるのは難しい。人事異動が頻繁にある公立では仕方ないことだ。


 だが、変わらないものもあった。

 横浜開港記念日の6月2日、開港祭の一環として「横浜ばら祭り」が市内の小学校の体育館で開かれた。小中学生150人と活動を支える大人80人が市内各所から集まった。新型コロナウイルスの流行で4年間の中断を経ての開催だ。


 今回、企画・運営の中心を担った中学3年生は、前回は小学5年生。前回中学3年生だった生徒は、大学生の年齢になり運営を支えた。先生の中学時代の同級生がバラの国ブルガリアに飛び、オンラインで現地の子どもたちとの交流を実現させた。いずれも校長先生のネットワークだ。

 先生が担任をしていた当時の教え子が前任校で教壇に立っている。先生が現在校長を務める学校には、教え子の子どもたちが通ってきている。教え子たちは恩師のため、子どもたちのため、一肌も二肌も脱いでくれる。七夕の日の夕方、先生を訪ねると、「親子よく似ていてかわいいんですよ」と、日に焼けた顔をくしゃくしゃにして笑った。夏休みには、児童相談所の一時保護所から中学に通う卒業生が「先生たちに会いたい」とやってくる。「何をしてあげられるわけではないのですが、一度かかわった以上、何とかしたいと思うじゃないですか」

 校庭里山の稲や野菜、花々のように、先生が育てた教え子たちが実を結び、緩やかなネットワークができつつある。校長が代われば学校は変わる。しかし、人を核にしたネットワークは持続可能だ。人は学校につくのではなく、人につく。校長先生は持続可能な教育の在り方に手応えを感じ始めている。(2023.07.09)

写真:小学校の近くで見上げた七夕の夕空=横浜市内

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