夏休み。台風7号が迫る中、京都に2泊3日の家族旅行に出掛けた。中日に待機と帰りに新幹線の遅延に見舞われたものの、それも良い思い出。初日は、二条城、金閣寺、竜安寺、日本文化を紹介するギオンコーナー…、最終日に清水寺、伏見稲荷、三十三間堂…と楽しめた。適度にコンパクトな京都の街のサイズのお陰だ。宿泊は運よく京都の伝統建築である町屋を改修した一棟を確保でき、待機日もホテルライフを満喫できた。
オーバーツーリズムの京都。どこに行っても内外の観光客だらけ。記者もそのうちの一人なので何も言えないのだが、人ごみの中で本来の風情を感じるのは難しい。金閣寺も参拝した。三島由紀夫さん著『金閣寺』の主人公の学僧のように、その美しさに「焼かなければならぬ」と感じる前に人の多さに消耗した。
そんな中、時間の制限もあって試みたのは早朝の寺巡りだった。寺社の朝は早い。最終日の午前6時に赴いた清水寺は、雨に洗われ仁王門や鐘楼の朱と夏の緑のコントラストが一段と美しい。刻々と風景が変わる時間帯でもある。特に台風一過の空は。
最大の収穫は人が少ないこと。待たずに家族全員が本堂で鐘を鳴らせた(次女は2回も)。いつもは人であふれている清水の舞台にいるのはごく少数。写真に他の観光客が写り込むこともない。静かな時間と空間を満喫でき、霊験あらたかな気持ちになれる。京都観光はぜひ早朝に。
清水寺を詣でたのは、たまたま「千日詣り」の日でもあった。一日のお参りで千日分のご利益を授かるという。今回の旅行では他にも多くの寺社にお参りした。願い事が叶い、心身の健康を取り戻せるといい。(2023.08.17 78回)
写真:早朝の清水寺=16日(長女撮影)