横浜マラソンを完走した2022年10月30日にお祝いしたのを最後に、アルコールを飲んでいない。今日で「断酒3カ月」達成ということになる。メンタルが原因と思われる体調不良について、知り合いの精神科医の先生に相談した。電話でしばしの問診の後、こう言われた。
「お酒は我々の業界では合法ドラッグと呼んでいます。まずはお酒を止めてください」
「不調に関係あるのか?」「俺はアル中じゃない。毎晩の楽しみをなぜやめなければならない」と当初は不愉快な気分になったのだが…。
お酒との付き合いは長い。仕事に就いた20代前半から飲み始め、30年近くほぼ毎日飲んでいた。特にビール。1日の終わりの欠かせない楽しみだ。外では、しゃべるのが得意ではない記者が、他者とのコミュニケーションを円滑にするのに役立ったと思う。飲みすぎは自覚していたが、「自分は大丈夫。問題ない」と思っていた。
昨春、職場環境に大きな変化を強いられると、不安、抑うつが募り、そのうちに身体症状が出るようになった。毎日、動悸と過呼吸でパニックになって目覚めた。寝汗が止まらない。一度目覚めると眠れない。肩こりと手足のしびれ、吐き気が加わった。ネットで調べると、自律神経失調症、パニック障害、男性更年期障害などの症状と重なった。係り付けの医者に通ってはいたが、一向に改善しない。辛くなり、22年10月、冒頭の先生に相談した。
先生からは、断酒とともに家族に指摘されていた睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるよう指示された。この2つが他の症状を引き起こしている可能性があるからだという。断酒するとすぐに、いびきがなくなったと家族に言われた。近くの医院で検査を受けると、呼吸が止まったり弱くなったりすることはあっても基準値以内で「問題なし」との結果だった。
冒頭の先生に「私は近すぎて主治医にはなれないので」と、紹介された都内のメンタルクリニックで同11月に「(職場環境の変化に伴う)適応障害」と告げられた。そこに「飲酒が加わり症状を悪くしていた」という診断だった。アルコール、恐るべしである。病名がはっきりして安心した。対処方法が決まるからだ。メンタルが原因なのに飲酒を続けたら、それこそ依存症になりかねない。また、飲酒を止めたら実際、不快な身体症状は大幅に緩和され、楽になっている。「当面」と思っていた「断酒」を続けることに決めた。
3回シリーズで体験記をつづる。(2023.01.30)