日々のこと

断酒体験記(下)

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 飲酒に伴う不快な身体症状が大幅に緩和したことは、体験記(上)で少し触れた。相変わらず毎晩のように中途覚醒はあるが、その後再び眠りにつくことができるようになった。飲酒すると寝つきはいいのだが、睡眠の質を大きく損なっていた。最も不快だった動悸と過呼吸については、頻度は減り、強度も弱まった。


 断酒の効果はそれだけではない。飲酒しながらだらだら食べる習慣がなくなった。すると、どれだけ走っても減らなかった体重が3カ月で4~5㎏減った。学生時代の体重に近づいている。身体が軽い。ズボンのベルトの穴が一つ縮まった。寿町で取材に応じてくれた男性は「森永のプリンとコーラ、キャラメルコーン、今はチョコレートと、いつも何かに依存してるけど、酒は飲んでねえよ」と話していた。記者も同様に甘いものが欠かせなくなった。

 飲酒後は眠くなり何もできず寝るだけだったが、夕食後に時間ができた。寝ようにも眠くならない。当初は無聊をかこっていたが、いろんなことができると気付いた。セルフケアのためのジャーナリングができる。好きな本が読める。こうしてブログを書くこともできる。定年に向け新しく始めようと計画していることもある。お酒を飲むと何度も同じ話をしていたらしい。それがなくなり、家族も喜んでいる。

 ちょっとだけ興味があるのは、もう一度飲んだら、依存症に戻るのかということだ。機会飲酒という考え方がある。普段は飲まないが、冠婚葬祭や歓送迎会など何かイベントの際だけに飲むというものだ。クリニックの先生は「依存症に戻ってしまう人は多いです。だから、一切止めてしまった方が楽ではあります。でも、ほかの診療科で酒を飲んでいる間は診ないという医者がいますが、一生一滴も飲むなというのも厳しいですよね」

 「1本だけオバケ」が出てきて、たばこを止められなかったときのことを思い出した。知人の精神科医は「断酒して体質が変わるまでには1年かかります」。どう変わるのかも興味がある。断酒は当面、To be continued…だ。(2023.02.01)

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