『ギャルトン事件』(ロス・マクドナルド著)
ミステリーツアーの2巡目である。1巡目で気に入った作家の別の本を読み始めた。20年前に失踪した名家の息子を捜す探偵リュー・アーチャー。ロス・マクドナルド著『ギャルトン事件』(1987年3月、早川書房)だ。
今回もアーチャーは読者の目となり耳となり頭脳となり、物語を進めてくれる。ただただ、実直に地道に現場を踏み、関係者に当たり、事実を繋ぎ合わせて過去を暴き出す。そして時に間違う。とても好感が持てる。そこから予想外のラストにたどり着く過程は、自分の読書スピードがじれったい。
アーチャーシリーズはほかに何冊か翻訳されている。こんなハラハラドキドキする楽しい時間を与えてくれる本がこれからも読めるというのは幸運である。楽しみは後にとっておくもの?である。(2025.12.07 No.182)