本のこと

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魅力は行動力

『成瀬は信じた道をいく』(宮島未奈著)  2024年本屋大賞受賞作、宮島未奈さん著『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社、2023年3月)と続編『成瀬は信じた道をいく』(同、24年1月)を読んだ。滋賀県大津市への地元愛に富み […]

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鏡を見る

『傲慢と善良』(辻村深月)  婚約者が忽然と姿を消した。宮部みゆきさんの『火車』のようなミステリーかと思った。装丁もミステリーを思わせる。辻村深月さん著『傲慢と善良』(2019年3月、朝日新聞出版)だ。実際、全体の3分の […]

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ダルの変化球のように

『転がる珠玉のように』(ブレイディみかこ著)  緻密に計算された配球でテンポよくストライクカウントをとる。決め球は、打者の手元でくいっと軌道を変える7色の変化球だ。鋭く曲がり、落ち、浮き上がる。米大リーグ、パドレスのダル […]

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次回作を待って

佐々涼子さん死去  敬愛するノンフィクション作家、佐々涼子さんの訃報を3日、朝刊社会面の小さな記事で知った。56歳と記者よりも若い。悪性の脳腫瘍で闘病中だったことは知っていた。長くは生きられないことも。だが、奇跡を信じ、 […]

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芥川×シェークスピア×ミレー×…

『黒い絵』(原田マハ著)  芥川龍之介の『地獄変』を下敷きにした。ミレーの絵の中で生きる、シェークスピアの戯曲『ハムレット』の登場人物オフィーリアが語り手になる。そんな物語をアート小説の名手、原田マハさんが創作した。面白 […]

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墨の香

『板上に咲く』(原田マハ著)  読んでいると、墨の香が漂ってくるようだった。原田マハさん著『板上に咲く』(2024年3月、幻冬舎)だ。ゴッホにあこがれ、世界のMUNAKATAになった棟方志功の半生を妻チヤの視線で描いたア […]

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今だからこそ

『この夏の星を見る』(辻村深月著)  フィクションではあるが、コロナ禍当時の学校の空気を閉じ込めた時代の記録だ。辻村深月さん著『この夏の星を見る』(2023年6月、KADOKAWA)である。休校、緊急事態宣言…、日常が制 […]

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広がる読書

『スピノザの診察室』(夏川草介著)  夏川草介さん著『スピノザの診察室』(2023年10月、文藝春秋)。タイトルに惹かれて手にした。「スピノザ」。関心はありつつも敬して遠ざけてきた。それが読みやすそうな医療小説のタイトル […]

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読書の正しい楽しみ方

『カラフル』(森絵都著)  ヤングアダルト向けのロングセラーということしか知らないまま、森絵都さん著『カラフル』(1998年7月、理論社)を初めて読んだ。タイトルから、いじめをモチーフに多様性の大切さを訴える物語かと思っ […]

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八月のスタンダードに

『八月の御所グラウンド』(万城目学著)  万城目学さん著『八月の御所グラウンド』(2023年8月、文藝春秋)は、初版発行から1年がたつのに、横浜市立図書館での予約件数は600人を超える人気作品だ。それが、地域の公民館のよ […]