『ミス・サンシャイン』(吉田修一著) 吉田修一さんの『国宝』を読んだ流れで、たまたま手に取ったのが同じ著者のこの本『ミス・サンシャイン』(文藝春秋、2022年1月)だった。以前にも書いたが、芥川賞受賞作に馴染めず、半ば […]
本のこと
告発の彼方
『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』(堀川惠子著) 戦後80年。『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』とジャーナリスト、堀川惠子さんの著書を読み始め、堀川さんが戦争と並ぶもう一 […]
アンチ・コンプラ
『国宝』(吉田修一著) 映画を家族全員が観た。「観ておいた方がいい」と勧められた。一瞬も目を離すことなく3時間楽しめた。いつもは原作を読んでから映像化された作品を観ることにしているのだが、今回は例外となった。歌舞伎をテ […]
不自由を描く
『BUTTER』(柚木麻子著) 英国で賞をとったことで再評価された1冊だ。柚木麻子さん著『BUTTER』(2017年4月、新潮社)である。交際男性3人から財産を奪い殺害した疑いで逮捕、起訴された女性を取材する週刊誌の女 […]
フィクションの可能性
『藍を継ぐ海』(伊与原新著) 盛夏のこの時期になると、取り出す本がある。広島原爆を記録した原民喜著『夏の花』、大江健三郎著『ヒロシマノート』。日航機墜落事故をモチーフにした横山秀夫著『クライマーズハイ』。終戦の日を再現 […]
鑑賞は文藝
『パパイアから人生』(夏井いつき著) 簡単そうで難しい。俳句のことだ。例えば季語にもなっている「すみれ」。漢字だと「菫」。読めない。旧仮名遣いで五七五の定型が崩れると、どこで切っていいか分からない句が散見される。ここで […]
いつまでアップデート?
『老いてもヒグチ 転ばぬ先の幸せのヒント』(樋口恵子著) 評論家の樋口恵子さんが老いを語るエッセイ集の最新刊『老いてもヒグチ 転ばぬ先の幸せのヒント』(24年12月、清流出版)を読んだ。さまざまな出版社から出ているこれ […]
野心作、再び
『生殖記』(朝井リョウ著) 好きな作家かと問われれば、そうでもない。でも、ついつい読んでしまう。前著『正欲』から続く実験的な野心作だった。朝井リョウさん著『生殖記』(小学館、24年10月)だ。前著からのテーマである多様 […]
大文豪のメンタル回復法
『庭仕事の愉しみ』(ヘルマン・ヘッセ著) ヘルマン・ヘッセ著『庭仕事の愉しみ』(1996年6月、草思社)を読んだ。子どもの頃『車輪の下』は読んだのだが、内容はほとんど覚えていない。今頃になって手に取ったのは、ヘッセがメ […]
余話、バランスの難しさ
『ハヤブサ消防団』(池井戸潤著) 池井戸潤さん著『ハヤブサ消防団』(2022年9月、集英社)を開くと、本のそで、登場人物を紹介する欄に怪しげな新興宗教の名前が出てくる。紹介文の「やがてのどかな集落でひそかに進行していた […]









