本のこと

本のこと

読書体験

『街とその不確かな壁』(村上春樹著)  村上春樹さん話題の新刊『街とその不確かな壁』(新潮社、2023年4月)は、まさに「読書体験」だった。「村上春樹の秘密の場所」を登場人物たちと巡る、夢見るような時間だ。『世界の終わり […]

日々のこと

治る病気

『軽症うつ病』(笠原嘉著)  心身の不調が1年以上続いている。「精神科」の敷居を越えたのが昨年11月。「適応障害」と診断された。その際、この病名は6カ月しか使えないのだと言われた。半年後の今年5月、主治医に改めて聞いた。 […]

本のこと

教授のバイオグラフィーワーク

『音楽は自由にする』(坂本龍一著)  3月に71歳の若さで他界した坂本龍一さんの個人史『音楽は自由にする』(新潮社、2009年2月)をもとにバイオグラフィーワークの手法を使い“教授”を振り返りたい。バイオグラフィーワーク […]

本のこと

新たな才能

『休館日の彼女たち』(八木詠美著)  面白かった。医学部のアルバイトで死体と対話する大江健三郎さんの初期短編『死者の奢り』を思い出し、最初から惹きこまれた。安部公房さん作品のようなシュールで奇想天外な展開が作品を駆動する […]

本のこと

サラリーマンの家族

『毎日が日曜日』(城山三郎著)  舞台はワークライフバランスなどお構いなしの昭和の総合商社。作品全体の古さは否めないが、左遷、定年という節目は現代も通底するテーマだ。「企業戦士」を主人公に据え、サラリーマンにとって幸福な […]

本のこと

洗脳メカニズムの解明を

『沙林 偽りの王国』(帚木蓬生著  オウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)元代表=2018年の死刑執行時(63)=がサリンに初めて言及したのは、1993年4月、高知での説法だった。帚木蓬生さんの『沙林 偽りの王国』(新潮社 […]

本のこと

嘘、ついてみようかな。

『空芯手帳』(八木詠美著)  教師、図書館司書…。今回も、作家以外の仕事を持ちながら創作活動に励む若い女性が書いた本だ。『空芯手帳』(筑摩書房、2020年11月)を書いた八木詠美さんは雑誌編集の仕事をしているそうだ。太宰 […]

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ダイバーシティ&インクルーシブ

『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつあやこ著)  図書館司書でもある著者のこまつあやこさんは本当に本と言葉と図書館が好きなんだな、と伝わってくる一冊だ。デビュー作『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ […]

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旅に出たい

『失踪願望。コロナふらふら格闘編』(椎名誠著)  旅に出たい。最近思う。ゴールデンウィークに家族と出掛けた小旅行が楽しかったからだ。しかしサラリーマン、そう簡単に休みを取れるわけではない。旅行文学を探した。ちょうど、TB […]

本のこと

ジェットコースター

『黄色い家』(川上未映子)  カタコト音を立てる車輪。空が近づいてくる。むき出しの体が高みから一気に投げ出される。浮遊感。川上未映子さん著『黄色い家』(中央公論新社、2023年2月)はジェットコースターのようだった。   […]