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本のこと

緊張感

『新宿鮫ⅩⅡ 黒石』(大沢在昌著)  待望のシリーズ最新刊である。第2部のスタートとなった前作から3年ぶり。大沢在昌さんの『新宿鮫ⅩⅡ 黒石』(光文社、2022年11月)だ。中国残留孤児2、3世組織の内部抗争から起こった […]

日々のこと

自習の限界

『こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳』(大野裕著)  昨年末から適応障害の治療で精神科に通っている。主治医から「薬で症状を抑えている間に認知療法を」と紹介されたのが『こころが晴れるノート うつと不安の認知療 […]

本のこと

長編か短編か

『地図と拳』(小川哲著)  4年を超える連載と巻末8ページにわたる参考文献。全640ページ。重い。厚い。物理的にも内容的にも重厚な長編小説だった。小川哲さん著『地図と拳』(集英社、2022年6月)である。日露戦争前夜から […]

学校教育

伝承のバトン

 横浜市南部の栄区にある市立飯島小学校は、2011年の東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市の防災と復興を学ぶ学習を続けている。同市の実家が被災した大学生が「どこにいても自分が頑張ることが、家族や震災で被災した方々を支え […]

本のこと

前世紀のクワイエット・クイッター

『部長の大晩年』(城山三郎著)  「毎日が日曜日」。本のタイトルが流行語にもなった城山三郎さんによる俳人、永田耕衣さん(1900~1997年)の評伝『部長の大晩年』(新潮文庫、2004年8月)を読んだ。永田さんのことは本 […]

学校教育

校庭先生

 3月末、新年度前の春休み。久しぶりに旧知の小学校長先生を訪ねた。先生はいつものように、つばの広い帽子をかぶり、黄色い菜の花が盛りの花壇を世話していた。知らない人には用務員さんにしか見えない。  校長先生とは前任校で知り […]

本のこと

意外さとギャップ

『虐殺器官』(伊藤計劃著、早川書房、2007年6月)  黒地に白と銀の角ばった文字が並ぶ表紙。タイトルは「虐殺器官」。これだけでは、何の本か全く想像がつかない。裏表紙のあらすじを読んで、近未来の軍事・インテリジェンスもの […]

本のこと

答えじゃなくて…

『スター』(朝井リョウ著)  若い作者なのに、随分説教臭いな。朝井リョウさんの『スター』(朝日新聞出版、2020年10月)の感想だ。『正欲』で追求した多様性の在り方、承認欲求をより身近な題材を用いて描いている。  新人の […]

本のこと

同時代作家

『われらの時代』(大江健三郎著)  「快楽の動作をつづけながら形而上学について考えること、精神の機能に熱中すること、それは決して下等なたのしみではないだろう。(中略)南靖男は、かれの若わかしい筋肉となめらかな皮膚のすべて […]

本のこと

「復興」の現実

『荒れ地の家族』(佐藤厚志著)  東日本大震災から間もなく12年。3月11日を前に佐藤厚志さんの第168回芥川賞受賞作『荒れ地の家族』(新潮社、2023年1月)を読んだ。震災の人的被害は、同年3月1日時点で死者1万590 […]